└花王・カネボウ統合

2006年10月24日

花王・カネボウ統合Vol.8:変わる花王の百貨店売場

花王のカネボウ統合において、花王がカネボウに求めた大きなものはカネボウのブランドに人々が抱くリッチで華やかなイメージであろうと前章にて述べましたが、その統合の効果の表れか、百貨店の花王コーナーが変わってきています。

sofina花王の化粧品といえば「花王ソフィーナ」がブランドであり、百貨店のコーナーも長年ソフィーナのエメラルド色を背景としたブランドロゴを冠した造りになっていました。そしてそこでは、花王の百貨店専門化粧品である「est(エスト)」の他にも「AUBE」「VERY VERY」など他チャネルでも販売しているソフィーナ商品が販売されていました。そのため、百貨店にあっても花王のコーナーはあくまでソフィーナのコーナーであり、周りの高級ブランドと比較して大衆寄りの印象が拭えませんでした。

ところが、今年、百貨店の改装や化粧品フロアの売場移動など様様なタイミングにおいて、百貨店の化粧品フロアから「ソフィーナ」のコーナーが消え、代わって「エスト」単独のコーナー(エストサイエンスプラザ)が次々と誕生しています。「ソフィーナ」は主力チャネルである量販店、ドラッグストアに特化し、百貨店での販売は「エスト」へ一本化する動きが進んでいます。「エスト」のブランドカラーで統一されたコーナーは従来の「花王ソフィーナ」のコーナーに比べ、高級感が格段にアップし、上質な雰囲気を漂わせています。

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そして、今年9月の「クリームメイクアップリフトインプレッション」の発売が、その傾向に拍車をかけました。この商品は肌の表面に「光の等高線」をつくりだすというコンセプトのファンデーションですが、その容器がとてもきらびやかで、エストブランドの象徴であるダイアモンドと、上記の光の等高線を表現したような形になっています。9月2日の発売日以降、「クリームメイクアップリフトインプレッション」のビジュアルが全面に出された「エスト」のコーナーは実に美しくなり、花王の百貨店コーナーがこの1年で明らかに変わったことを印象づけています。

est2 また、エストサイエンスプラザは化粧品メーカーとして初めて、旭硝子製の高機能・高級ガラス「クラリティア」及びミラー「サンミラー リアリティア」を標準採用しているとのこと。旭硝子によると、エストブランドの象徴であるダイアモンドの持つ高透過感を「クラリティア」が表現し、顧客の肌の状態及び色を的確に判断し、最良の商品を提供するという消費者視点に立った花王の売場づくりの実現を「サンミラー リアリティア」が可能にしているとうこと。きらびやかな売場の演出にはこのような細部に仕掛があるということです。

本格的な高級ブランドコミュニケーションを開始した「エスト」、もはや従来の花王のイメージはないといってもいいでしょう。

参考資料:旭硝子プレスリリース



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2006年07月09日

花王・カネボウ統合Vol.7:リッチで華やかなイメージ

本シリーズ前号にてふれた通り、カネボウは70年代、80年代において、資生堂と競うように女優や有名歌手を起用したシーズンキャンペーンを展開していました。それは常にトレンドを先取りし、一貫して華やかでおしゃれ、そして憧れと夢のイメージにあふれ、マス広告を介して世の女性の心を捉えてきました。資生堂、カネボウという企業ブランドが持つ、リッチで華やかなイメージは、この頃に確固たる礎が築かれたのだと思われます。

化粧品業界そして、現代の花王がカネボウに求めた最も大きなものが、そのリッチで華やかな企業ブランドイメージだと言われています。前述のように、GMSを基点に商品の機能性をPRする戦略で成功したソフィーナの場合、今では有名女優などを使ったCMを打っていますが、消費者の中のイメージは、華やかにはなりきらないようです。

ところで、人気の女優や有名歌手を起用したカネボウのシーズンキャンペーンのTVCMの多くは、女優の映像とCMソングが全面に出ており、後は、短いコピーと商品写真が最後に映るといったもので、商品自体の持つ美容科学上の「売り」との関連性が薄く、イメージ先行のような印象を受けます。しかし、このイメージ先行の部分が実は重要で、商品とは全く別の所で存在するイメージの部分を真剣に考えていく作業を行っていくことで、たとえ商品が変わっても、変わらずに世の女性を惹きつけるブランドという力が育成されるのだと思われます。

たとえば、モデルに誰を使うかを決めるには、世の中の女性が持つライフスタイルや、恋愛、仕事への価値観、そして性格など多種多様な人間性において、今後、主流になりそうなトレンドを見極め、その方向性のシンボル的存在が誰なのかを考えます。

一般に化粧品に求められるベネフィット(美白や潤いなどの機能効果やコストパフォーマンス)よりも、その化粧品を使えばどんな女性になれるのかということの方が、買う側にとっても、意識されやすいのでしょう。

カネボウが、’79年から展開したレディ’80(エイティー)キャンペーンは、当時のキャリアウーマンという言葉に体表される女性の社会的地位の向上に着眼し、「’80年代に羽ばたく新しい女性を求めます」という宣言のもとにスタートしたロングランキャンペーンでした。そして、そのレディ’80にふさわしい女性が、全国の応募者25,704人から選ばれたのですが、その条件は、健康的な美しさ、ゆたかなファッションセンス、人間としての普遍的な魅力であるやさしさ、知性とセンスを兼備した国際感覚、そしてゆたかな教養でささえられる社会感覚といった5つの内容。選ばれたのは当時21歳の松原千明でした。

☆主なレディ'80 キャンペーン
'79年 レディ'80宣言
'80年春 「唇よ、熱く君を語れ」松原千明
歌:渡辺真知子
'81年 レディ'80エビータ
※ミュージカル「エビータ」連動キャンペーン
'82年春 「浮気な、パレットキャット」小池玉緒
歌:ハウンドドッッグ
'83年夏「君に、胸キュン」相田寿美緒
歌:YMO
'84年 レディ'80バイオリップスティック
'85年 レディ'80プロ感度BIOカラーネットワーク


参考文献:
化粧品のブランド史―文明開化からグローバルマーケティングへ


化粧品業界
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2006年04月05日

花王・カネボウ統合Vol.6:カネボウ化粧品事業を改革

1966年、カネボウは全国の販社が赤字に陥っている状況を打破するため、化粧品事業の改革に乗り出しました。

化粧品業界まず、本体の各部門から優秀な30代半ばの若手を引き抜き化粧品へ投入、化粧品本社企画に15名、地区担当として販社建て直しに10名を配属します。彼らは、化粧品には全くの素人でしたが、資生堂を徹底的に研究し、化粧品事業における成功の鍵(チェーン店制度と価格維持)を学び、資生堂の戦略をそのまま踏襲していきます。この当時、3年間の小売店との店舗確保契約と美容部員配置のために100億円が投下されました。

一方で、生産志向からの脱却を目指し、プロダクト・マネジャー制を導入。消費者志向、販売志向を制度として具体化していきます。

また、東京銀座にカネボウ化粧品販売株式会社を設立し、大阪のカネボウ本社から化粧品事業部を銀座に移転します。これにより、カネボウが化粧品に本腰を入れていることが、内外に印象づけられ、取引先小売店の信頼を得ることができたと言われています。

このような改革及び本社の強力なバックアップ体制を得て、カネボウの化粧品事業はその後、急成長を成し遂げていきます。

■カネボウ本社化粧品事業売上推移:単位億円
カネボウ04

この時代、カネボウは新商品の発売に際して、イメージモデルに女優や有名タレントを起用、TVCMにも人気歌手のCMソングを使用するなど大規模な宣伝広告キャンペーンを展開するようになり、70年代、80年代において、資生堂とともに化粧品のシーズンキャンペーン全盛時代を築いていきます。(下表参照)

■カネボウの主なシーズンキャンペーン
(70年代後半〜80年代前半)
カネボウ03

出所:KBSケース「鐘紡株式会社-多角化事業-」他



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2006年03月26日

花王・カネボウ統合Vol.5:カネボウの化粧品事業参入

カネボウの化粧品事業への本格的参入は、1961年鐘淵化学工業より、化粧品事業の営業権譲渡を受けたときから始まります。翌年には化粧品事業部が発足、'63年には14の販売会社を一気に49販社に増設させ、全国にカネボウ全額出資の販売会社組織を確立しました。同年、基礎化粧品「レーヌ」を発売、フランスより技術者を招へいして「パリ研究所」を開設しています。

化粧品業界販売会社増設のため、カネボウは40〜50才の元工場長クラス、または人事労務部門の部長クラスの人を支配人(販売会社社長)として、各県に1人ずつ派遣します。現地に赴いた彼らは、各県に販社を作るべく従業員の募集から事務所の確保、小売店回りなど全て1人で行いながら、販社作りを軌道に乗せるために必死に頑張ったと言われています。

また、当時はまだ本業の繊維が作ればだまって売れていた時代でしたので、カネボウ本社は生産志向が強く、化粧品は主流事業ではないという事から化粧品事業に対する社内の他部門からの強力体制が充分ではなかったようです。

それでも、化粧品は飛躍的に売上を伸ばしていきます。発足当時年間12億円程度だったものが、'63年には107億、'65年に145億へと拡大しています。この当時、カネボウ本社は化粧品が末端で順調に売れていると思い込んでいました。ところが実態は末端では売れておらず、デッドストックが販社に山積みされている状態でした。在庫過多になった販社はのきなみ大幅な赤字を示し、銀行借入によってそれをしのいでいる状態でした。

このような化粧品事業の実態解明が進むと、社内や取引銀行から化粧品撤退論が大きくなってきます。しかし、化粧品市場は将来伸びるという判断のもとに、カネボウ本社は化粧品事業の継続を決断、'66年に化粧品事業の改革を断行することになります。

出所:KBSケース「鐘紡株式会社-多角化事業-」



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2006年01月15日

花王・カネボウ統合Vol.4:花王ソフィーナ誕生

自社ブランド「ソフィーナ」での化粧品市場参入に際して、業界から逆風を受けていた花王ですが、いかにも花王らしい手法で「ソフィーナ」を成功に導いていきます。 キーワードは以下の2つです。

・革新的な新機能
・セルフ販売

まずひとつ目のキーワードである革新的な新機能ですが、花王は、華やかさや美しさと言った化粧に対するイメージが最大のセールスポイントとなる化粧品市場に、初めて商品の機能を最大のセールスポイントをして切り込みました。

化粧品業界例えば、従来メイク落としの際は、クレンジングオイルやクリームを使ってメイクを浮かせた後、テッシュ等でふき取っていましたが、そこへ花王は水でメイクを洗い流せる機能を持った「メイククリアジェル」を発売します。水でメイクを洗い流せるのは、今でこそ当たり前ですが、当時は革新的なクレンジングでした。この商品は現在もソフィーナのラインナップに引き継がれています。

また、ファンデーションにおいてもソフィーナは新しい機能商品を出しています。それまでのベースメイクは、化粧下地の後、リキッドかパウダーのファンデーションのどちらかを使うのが普通でしたが、ソフィーナは、化粧下地の上にまずリキッドファンデーションを塗布し、さらにパウダーをつけるというファンデーションを二種類使って仕上げるベースメイクを提案しました。この方法も今では当たり前ですが、当時は斬新でした。以上ように、花王はその研究開発力をもって世の中に存在しなかった機能を持った化粧品をソフィーナブランドで市場へ投入することで、消費者の指示を獲得したのです。

ふたつ目のキーワードのセルフ販売ですが、当時、資生堂、カネボウ、コーセーといった国内大手が専門店とデパートを通じ強い販売力を持っていたのに対し、トイレタリーメーカーである花王のメイン流通チャネルは量販店でした。専門店は制度品システムという非常に特殊な世界で新規参入は容易ではありません。また百貨店は売場の覇権争いが激しいうえ、高級イメージがない花王には不利な面が強く、新たに売場を確保していくには長い年月がと労力がかかってしまいます。そこで、花王は自らが強いつながりを持つ量販店でソフィーナを展開します。

百貨店や専門店と違い、美容部員がいない量販店の売場で化粧品を売るために、お客がソフィーナ化粧品の機能性を店頭で理解できるよう専用の什器やPOPを開発しました。それは従来の化粧品の派手な写真中心の広告とは違う、真面目な説明文メインのものでした。お客は、店頭でPOPや什器の説明を見て、自分が良いと思ったものを好きに選ぶ。このいわゆるセルフ化粧品のスタイルが、経済成長に伴い女性のライフスタイルが大きく変化する波に乗って共感を得ました。

このような革新的な機能性商品投入とセルフ販売により、ソフィーナは徐々に売上を伸ばし大手の化粧品ブランドとしてのポジションを築いていくことになります。


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2006年01月01日

花王・カネボウ統合Vol.3:花王の化粧品事業参入

前号でカネボウの沿革について触れましたが、一方の花王はどうでしょうか。 花王は22期連続経常増益を続けており(03年の統合発表時)、トイレタリーでは国内で圧倒的な強さを誇っています。化粧品事業は現在全売上の約8%を占めるまで成長、化粧品の国内出荷額シェアは資生堂、カネボウ、コーセーに続く4位につけています。

花王といえば徹底したコスト管理で定評のある堅実経営、そして他社が真似できないような地道で細かなマーケティングというイメージが強いですが、その化粧品事業への参入はいかなるものであったのでしょうか。実は、花王は過去にも化粧品会社を買収しようと試みています。

化粧品業界 花王が「ソフィーナ」で化粧品部門に参入したのは1982年。ソフィーナ以前にもドイツのバイヤスドルフ社との提携によりスキンケア化粧品ニベアを発売していましたが、価格が安く点数も少なく大きな取り組みとは言えませんでした。そこで、化粧品市場へ本格的に参入すべく79年に花王は米消費財巨人コルゲート・パーモリーブ社から高級化粧品ブランドのヘレナ・ルビンスタインを買収しようとします。

ヘレナ・ルビンスタインは今から一世紀以上前に、同名の女性企業家が米国で立ち上げた化粧品会社です。同世代の女性企業家に同じく化粧品のエリザベス・アーデンがいますが、美容院の開設から始まった彼女のビジネスは長い間、成長を続けます。50年代〜60年代にはエリザベス・アーデンと共に抜群の知名度を誇り、米国で新たに形成されつつあった高級化粧品市場でも強いブランド力を発揮していました。しかし66年の創業者ヘレナ・ルビンスタインの死去を堺に、経営が迷走を始め、マーケティング戦略が定まらなくなります。いわゆるカリスマ指導者を失った結果と言えますが、結局ヘレナ・ルビンスタインは、73年にコルゲート社に買収されます。

新しい経営者のもとで、ヘレナ・ルビンスタインは大衆市場に注力するようになりましたが、売上不振からコルゲート社はヘレナの売却を示唆。そこに花王が飛びついたかっこうになったのですが、この買収交渉はなぜか最終段階で決裂してしまいました。(現在ヘレナ・ルビンスタインは仏ロレアルグループの傘下にあります)

ヘレナ・ルビンスタインの買収に失敗した花王は、いよいよ自社ブランドで化粧品市場に参入しようと「ソフィーナ」を立上げます。しかし、当時の花王は既に大企業でしたが、あくまでトイレタリーのメーカー。洗剤や石鹸の会社というイメージが定着している花王に、女性をきれいにするという夢を売る商売ができるはずがないと、迎え撃つ業界はいっせいに批判を浴びせました。

続く


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2005年12月17日

花王・カネボウ統合Vol.2:統合劇の発端

今回の一連の統合劇の発端は、2年前の秋にさかのぼります。

2003年10月23日、日本の化粧品市場においてシェア2位のカネボウは同3位の花王と両社の化粧品事業を統合することで合意したと発表しました。両社は共同出資で新会社を設立し、カネボウは化粧品事業を新会社へ移管、3年後を目処に花王も化粧品事業を新会社に移すというものでした。このニュースはとても衝撃的だったのを憶えています。

事業の選択と集中のため特定事業を切り離し、他社と統合させることは産業界では珍しくありませんでしたが、中核事業以外を切り離すケースが大半である中、カネボウは中核の化粧品事業を分離する決断をしたのです。 カネボウは、どうしてそのような決断に至ったのか、そこには、歴代経営者の拡大経営の失策がありました。

カネボウは戦前、繊維業の名門でした。昭和11年当時カネボウ(当時:鐘淵紡績)は日本の民間企業では売上第1位の企業であり(下表)、「大鐘紡」経営のもと、繊維工業から重工業、化学工業を束ねる鐘紡コンツェルンを形成していきました。

化粧品業界
※日本製鉄は官営会社。単位百万円
出所:三菱経済研究所「本邦事業成績分析」

終戦後、繊維業中心の事業展開に戻りましたが、オイルショックを契機に安定収益の確保を目指して多角化を進め、1960年代までに、繊維、化粧品、薬品、食品、住宅の五つの事業を柱とするペンタゴン経営を展開、業績不振部門があっても好調事業で補う仕組みを作りました。(化粧品事業は、鐘淵化学から買収する形で参入) 

しかし実際は、化粧品事業の利益だけが突出して多く、他の事業の赤字を補う状況、とりわけ本業だった繊維事業が弱体化し、巨額の赤字を垂れ流して全体の足をひっぱっていました。その多角化経営の失敗は明らかでしたが、歴代の経営者は決断なきまま多角化を引きずってきたと言えます。資産売却や資産再評価によって決算を取り繕ってきましたが財産は売り尽くしていました。

そして2003年3月末には、連結有利子負債が営業キャッシュ・フローの219倍の5,057億円に達し、9月中間期には630億の債務超過になることが確実になっていたのです。

次号へ続く

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2005年12月16日

花王・カネボウ統合Vol.1:再生機構の発表

報道によると産業再生機構は本日、支援下で再建を進めているカネボウとカネボウ化粧品を、花王と日系ファンドの連合に売却することを正式に発表したとのことです。

これで2003年秋から始まったカネボウ売却劇にひとまず決着がついたわけですが、個人的には売却先が花王に内定してよかったと思います。理由のひとつは花王連合の提案内容にあります。

現時点で分かっている花王連合の提案は以下の3点です。
・カネボウ2社の現在の雇用条件を継続し、雇用を極力維持する
・カネボウ化粧品のブランドを残す
・知識賢治(ちしき・けんじ)社長らが続投する


化粧品業界 カネボウ化粧品のブランドを残すというのは、もともとそれを手に入れるのが目的のひとつでもあるので当然かと思いますが、現カネボウ従業員にとって最も重要な雇用の面への配慮がされるのは歓迎されることです。もちろんこの提案が守られることが大前提ですが。またリサージュの成功など実績があり、若い知識氏の続投は花王の化粧品事業との統合において、大きな力になるのではと期待されます。

花王への内定をうれしく思うもうひとつの点は、カネボウという日本が誇るブランドが、(今回途中で入札から撤退しましたが)ロレアルやP&Gなど巨大外資の手に落ちることなく、引き続き日本の化粧品会社のブランドとして生き続けることになったことです。そういう意味では、資生堂やコーセーでも良かったのですが、2年前に一旦花王と合意済みだった経緯から、今回は、はじめから花王が選考上優位に立っていたように感じられます。

ところで、2年越しの思いを成就させた花王ですが、カネボウをそこまで欲したのはなぜでしょう。次項以降、今回の売却劇を振り返りながら見ていきたいと思います

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