2006年11月29日

来月から中国での販売を再開するSK-II

P05中国で安全性に問題があるとの指摘により販売停止中のマックスファクター(神戸市)製化粧品「SK-II」シリーズ、12月初旬から中国での販売が再開されます。P&Gの中国現地法人の宝潔によると、販売再開当初は小売店を限定してスタートし、徐々に消費者の信用を勝ち得ていきたいとのこと。もともと10月には中国当局が「健康へのリスクは少ない」との声明を発表したため11月1日にも販売再開の予定だったのが、市場の反応が厳しいことから見送っていました。

9月14日に新華社が、「中国の品質管理当局がSK-IIの乳液やクリームなど9品目から化粧品では使用が禁じられているクロムとネオジムを検出した」と報じたことが発端となった今回の騒動、日本政府による食品の残留農薬に関する規制強化への対抗措置ではという見方から、当初は中国当局による日本製品への意図的な検査強化の現れのようにも思われましたが、次第に親会社の米P&Gの中国法人にも影響が及び、上海の同社事務所のドアが壊される事件も発生したとのこと。単純な日本製品への反発では終わらなかったようです。

さて、販売開始に向けて動き出した「SK-II」ですが、騒動以前の状態回復には時間がかかりそうです。SK-IIブランドの化粧品の安全性が中国で確認された後に、新民網が行ったネット調査では「もう買わない」と答えた人が全体の30%を超えており、それは既存「SK-II」ユーザーの中のみで見ると、約半数に達しています。(下図参照)

■SK−IIブランドの化粧品の販売が再開されたら、今後も購入するか N=159
P02

これには、販売停止中の店頭の状況も影響していると思われます。通常「SK-II」は専用のカウンターやコーナーで販売されていますが、販売停止中もカウンターやコーナーは店内にそのまま設置されており、商品だけが空という状態になっているところが多いようです。例えば、上海のセフォラでもSK-IIの空の専用什器が置かれており、什器中央に「お客様の利益を守るため、当店ではSK-IIの販売を停止しています」といった内容の張り紙がされています。(写真)

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これは非常に具合が悪く、日々、セフォラを訪れる客ひとりひとりに改めてSK-IIは有害だと印象づけているようなものです。販売再開に備え、販売スペースを確保しておく必要があるのもわかりますが、むしろ販売停止中はブランドが消費者の目に触れない方策をとった方が良かったのではないかと思います。

ただ、SK-IIといえば看板商品の化粧水をブランド誕生から25年以上の間、ほとんど仕様を変えず、ロイヤスカスタマーを維持する戦略をとっていることが特徴のひとつであるブランド。上記でふれたネット調査でも、他社へのスイッチ意向が既存「SK-II」ユーザーの約半数あった一方、逆に言えば「今後も買い続ける」と答えているかたいロイヤルカスタマーが約半数を占めているとも言え、この状況下におけるその比率はむしろ高いと言えます。よってそのかたい支持を維持するためにも、まずは、離れた顧客を追うよりもロイヤルカスタマーへのフォロー、サービスが販売再開における最優先事項となるのではないでしょうか。

<出所>
P&G中国「宝潔」ホームページ
Livedoor NEWS
その他、独自取材資料


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