2006年11月05日

ブランドイメージ流動化を図るエスティローダー

xmas毎年、この季節になるとデパートではだんだんとクリスマス用のデコレーションが始まってきます。特に化粧品はいち早く各社からクリスマスコフレや限定カラーが発売されるなど、先行して雰囲気を盛り上げています。その中にあって、例年、セットのボリュームの多さが話題になるエスティローダー。今年のセット、メークアップ コレクション2006(10/27発売)も期待通りの中身の多さで、早い勢いで完売したようです。

今年のセットは人気色のリップ301、303をはじめ、アイシャドウやパウダーもベーシックで使える色がほとんどで、かなりお得感が高かったよう。ただ付属のトレインケースは賛否両論、ポーチやブラシは不評のようですが、トータルでは満足という方が多かったのではないでしょうか。また今回は、オスカー女優のグウィネス・パルトロウを広告に起用した華々しいPR効果が特に新客取り込みに寄与しているかもしれません。

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エスティローダーの広告の女性といえば、ミューズとして長く同じ女性が努める印象がありますが、最近は主にエリザベス・ハーリーとキャロリン・マーフィーの露出が多く、2人のイメージが顧客には定着しているのではないでしょうか。

エスティローダーが広告にはじめてモデルを起用したのは1962年。同社が初めて大手広告代理店(AC&Rエージェンシー)を使ったキャンペーンに乗り出した頃からです。当時すでに競合他社は自社広告に多くのモデルを使っていましたが、エスティは1人の女性に自社商品を体現させることに決め、「エスティローダーの女性」のシンボルになるようなモデルを探します。これが同ブランド独特のミューズの制度の始まりであり、‘62年から20世紀末までに、エスティローダーは7人のモデルを起用し、彼女達のほとんどは少なくとも5年間は、ブランドを代表する顔、ミューズを努めています。

初期のミューズはフォーマルで正装したときのようなエレガンスがあったのが、消費者の意識や優先順位の変化に合わせて、もっとリラックスした美しさを持つ顔が主流になり、昔より社会的なステータスを感じさせない顔が選ばれるようになっているとのこと。そういう傾向からすると、グウィネス・パルトロウの起用は合っているように思います。一方で、最近は同時期に複数のモデルを平行して起用するようになってきており、その点でも初期の考え方から変化してきています。消費者の変化のスピードに合わせ、特定の顔に依存しないブランドイメージ作りを目指しているようです。

■エスティローダーの主な起用モデル
62年 Phyllis Connor
65年 Karen Harris
70年 Karen Graham
85年 Willow Bay
88年 Paulina Porizkova
95年 Elizabeth Hurley
01年 Carolyn Murphy
03年 Liya Kebede
05年 Gwyneth Paltrow
06年 Anja Rubik

<参考資料>
ザ・ブランド―世紀を越えた起業家たちのブランド戦略


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