2006年10月09日

大型化粧品店の興隆Vol.4:立地ゆえの競合優位性

シリーズVol.4は立地についてです。立地は、セフォラミュゼ・ド・ポウの明暗を分けた大きな要素のひとつだと言えます。

化粧品業界セフォラは、出店地選びにおいて、欧米での考え方を踏襲し、都心の一等地に的を絞りました。旗艦店を銀座に置き、渋谷、新宿、心斎橋と日本を代表する大都市の中心に出店します。周辺地区からあらゆる人が集まるこれらの都市部はブランド発信地として申し分のない場所と言えますが、一方でこれらの地域は大手百貨店やドラッグストアが密集し、更にバラエティーショップなど大小様々なコスメショップが乱立する化粧品激戦区でもあります。

とくに、仏発の華やかな高級イメージを打ち出していたセフォラにとって、同様に高級感と華やかさを売りとする大手百貨店の化粧品売場と至近距離で競合するのは、高級ラインの品揃えで百貨店に劣るセフォラには分が悪かったと言えます。

 一方、ミュゼ・ド・ポウは、神奈川県に集中して店舗展開していますが、神奈川県の中でも横浜駅や川崎駅、桜木町周辺の都市部を外し、郊外に出店しています。具体的には、旗艦店を新横浜に置き、他は日吉、青葉台、海老名などです。これらのエリアのショッピング施設は、ファミリー向けのSCが中心で、化粧品売場は主にGMSの化粧品売場やドラッグストア、地場の薬局などになります。そのような環境にあって、本シリーズVol.3でふれたとおり、独自のVMDにこだわったミュゼ・ド・ポウの店舗は、その高級すぎることなく、ほどよくお洒落で洗練された空間により、周辺の競合する業態と大きく差別化されており、地元でも都心にあるような雰囲気のお店で化粧品を選んだり買ったりすることを楽しみたいOLや学生、若い主婦層のニーズ捉えていると思われます。

化粧品業界そしてもうひとつ、Vol.1でふれたとおり、ミュゼ・ド・ポウは国産制度品メーカーの化粧品専門店専用ブランドを扱っていますが、ベネフィークトワニーリサージアルビオンといった主要ブランドの取扱店情報(メーカーWEBサイト参照)によると、ミュゼ・ド・ポウの展開地域における、これらのブランドの取扱店は同店以外には、青葉台で1店あるかないかで、近隣にほぼ競合が無い状況になっています。

こういった競合優位性は、多様な業態がひしめく都市部ではなく、郊外にあるからこそ実現できていると考えられます。また、少し違う視点になりますが、ミュゼ・ド・ポウと姉妹店のフィットケア・デポは同じ地域にドミナント出店を行い、物流・オペレーションの効率化を図っている点もふれておくべきポイントと言えるでしょう。


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