2006年07月09日

花王・カネボウ統合Vol.7:リッチで華やかなイメージ

本シリーズ前号にてふれた通り、カネボウは70年代、80年代において、資生堂と競うように女優や有名歌手を起用したシーズンキャンペーンを展開していました。それは常にトレンドを先取りし、一貫して華やかでおしゃれ、そして憧れと夢のイメージにあふれ、マス広告を介して世の女性の心を捉えてきました。資生堂、カネボウという企業ブランドが持つ、リッチで華やかなイメージは、この頃に確固たる礎が築かれたのだと思われます。

化粧品業界そして、現代の花王がカネボウに求めた最も大きなものが、そのリッチで華やかな企業ブランドイメージだと言われています。前述のように、GMSを基点に商品の機能性をPRする戦略で成功したソフィーナの場合、今では有名女優などを使ったCMを打っていますが、消費者の中のイメージは、華やかにはなりきらないようです。

ところで、人気の女優や有名歌手を起用したカネボウのシーズンキャンペーンのTVCMの多くは、女優の映像とCMソングが全面に出ており、後は、短いコピーと商品写真が最後に映るといったもので、商品自体の持つ美容科学上の「売り」との関連性が薄く、イメージ先行のような印象を受けます。しかし、このイメージ先行の部分が実は重要で、商品とは全く別の所で存在するイメージの部分を真剣に考えていく作業を行っていくことで、たとえ商品が変わっても、変わらずに世の女性を惹きつけるブランドという力が育成されるのだと思われます。

たとえば、モデルに誰を使うかを決めるには、世の中の女性が持つライフスタイルや、恋愛、仕事への価値観、そして性格など多種多様な人間性において、今後、主流になりそうなトレンドを見極め、その方向性のシンボル的存在が誰なのかを考えます。

一般に化粧品に求められるベネフィット(美白や潤いなどの機能効果やコストパフォーマンス)よりも、その化粧品を使えばどんな女性になれるのかということの方が、買う側にとっても、意識されやすいのでしょう。

カネボウが、’79年から展開したレディ’80(エイティー)キャンペーンは、当時のキャリアウーマンという言葉に体表される女性の社会的地位の向上に着眼し、「’80年代に羽ばたく新しい女性を求めます」という宣言のもとにスタートしたロングランキャンペーンでした。そして、そのレディ’80にふさわしい女性が、全国の応募者25,704人から選ばれたのですが、その条件は、健康的な美しさ、ゆたかなファッションセンス、人間としての普遍的な魅力であるやさしさ、知性とセンスを兼備した国際感覚、そしてゆたかな教養でささえられる社会感覚といった5つの内容。選ばれたのは当時21歳の松原千明でした。

☆主なレディ'80 キャンペーン
'79年 レディ'80宣言
'80年春 「唇よ、熱く君を語れ」松原千明
歌:渡辺真知子
'81年 レディ'80エビータ
※ミュージカル「エビータ」連動キャンペーン
'82年春 「浮気な、パレットキャット」小池玉緒
歌:ハウンドドッッグ
'83年夏「君に、胸キュン」相田寿美緒
歌:YMO
'84年 レディ'80バイオリップスティック
'85年 レディ'80プロ感度BIOカラーネットワーク


参考文献:
化粧品のブランド史―文明開化からグローバルマーケティングへ


化粧品業界

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