2006年06月25日

大型化粧品店の興隆Vol.1:新業態誕生

化粧品業界 新横浜プリンスホテルのショッピングセンター1階を歩くと、ひときわ明るく目を引く化粧品店があります。一歩、店内に入れば、その圧倒的な広さは圧巻。店名は「ミュゼ・ド・ポウ」。神奈川を拠点とするドラッグストアチェーンのカメガヤが展開する大型化粧品専門店の旗艦店で、化粧品店としては日本最大級の店舗です。

日本の化粧品小売市場の出荷金額はこの10年間、ほぼ横ばいの状態を維持していますが、流通チャネル別販売シェアでは大きな変化が起きています。少し古いデータになりますが、98年と03年の販売実績を比較すると、薬局・薬店が5年間で販売シェアを5.2%増やしたのをはじめ、百貨店、CVS、通販が販売シェアを伸ばしています。(下図参照)

薬局・薬店が伸長した理由は、ドラッグストアが値引き販売によって、急激に売上および店舗数を拡大したため。これに対し、百貨店は新規ブランドを導入したり高度なカウンセリングを行ったりするなど、価格以外の価格が評価されて販売実績増に繋がっているようです。 (参照:2005年 百貨店 化粧品市場 シェア Vol.2) CVSは、メーカーとの共同開発商品など他の業態にはない商品を品揃えすることで販売実績を伸ばしています。また通販は、低価格、機能効果重視の独自商品のヒットとインターネット通販の急速な普及によって、急成長しています。 (参照:急成長を成し遂げた通販化粧品企業)

一方、ドラッグストア急伸の影響を受け、化粧品専門店、量販店はシェア低下傾向にあります。化粧品専門店が扱う国産高級化粧品と、量販店が扱っている低価格化粧品のいずれも、ドラッグストアで1〜2割引で販売されているのが一因にあります。

このように、日本の化粧品販売チャネル構成が変化する最中、99年に、大型化粧品専門店という新しい業態が日本で複数誕生しました。ひとつは、LVMHグループの化粧品小売業で、英仏米など世界数カ国に数百店舗を持つ「セフォラ」、そしてもう一方は、神奈川県を拠点とするカメガヤが新規にオープンさせた「ミュゼ・ド・ポウ」です。

結論から言えば、セフォラはその後、わずか2年で日本から撤退、一方、ミュゼ・ド・ポウは、翌年2号店、3号店をオープンさせ、順調に事業を拡大し、現在は7店舗を展開しています。この両社の明暗の原因は何だったのか。次号にて、考えていきたいと思います。

■国内化粧品販売チャネルシェア推移
チャネルシェア

参考文献:
<業界の最新常識>よくわかる化粧品業界


化粧品業界

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Profile

Storyteller

Archives
Recent Comments