2006年04月30日
ランコムの躍進Vol.7:ターゲットと価格設定
前回はランコムの高い国内生産比率についてふれましたが、今回はランコムのターゲットと価格設定について見てみたいと思います。
ターゲット
‘02年当時のランコムの発表によれば、ランコムのコアターゲットは25〜35歳の女性です。エクステンシルのヒット以前からマスカラに強みを持っていましたが’90年代後半から美白と日焼け対策商品を含めたスキンケアの拡販に重点を置いてきていました。その結果、'02年頃にはスキンケアとメイクアップの構成比率がほぼ半々になり、ともに2桁成長を維持していました。
ただし同様の戦略は他の外資系競合も採用しており、競争は激しくなっていました。なぜなら、スキンケアは日本最大の市場であり、また25〜35歳の女性というのは、流行に敏感なうえ経済的に余裕のある働く女性が中心の魅力的なセグメントだからです。
ワンシーズンごとの移り変わりが激しいメイクアップ商品に比べ、比較的息の長いスキンケア商品の方が利益を取りやすいというメーカー側の事情もあるといわれています。
BOBBI BROWNのようなメイクアップアーティストブランドでさえ、立ち上げ当初6〜7%だったスキンケアの売上シェアが、当時15%まであがっており、また同じくメイクアップアーティストブランドとして出発したRMKも、スキンケアへ商品ラインの拡大を行い、年率2桁の急成長を続けていました。
価格設定
スキンケアの代表的なアイテムについて、当時の外資系メガブランド5社に資生堂の5ブランドを加えた10ブランドの価格設定を比較してみました。(下表参照)
するとランコム、エスティローダー、ディオール、シャネルが、ほぼ同じレンジ内の価格設定となっており、クリニークは、それより平均して1,000円程度低めの価格設定になっていました。
この価格設定は、クリニークがかつてのトップブランドのポジジョンから凋落し、入門ブランドに変わりつつあることに影響していると考えられます。つまりクリニークでプレステージ化粧品を初体験した顧客が、年齢と収入が上がるにつれて、少し高めのランコムやシャネルに移行しているのではないかと言われています。
一方、資生堂は百貨店ルートだけでもブランドが複数存在し、価格設定がそれぞれ異なります。ターゲットを絞らず総花的な展開をしていると言えます。最も高価格帯のクレ・ド・ポーボーテが好調で安定した成長を見せていましたが、業界関係者の中には、同社に対してクレ・ド・ポーボーテ以外のブランドを本気で育てる気があるのか疑問視する声もあったようです。
百貨店ではSISLEYのクリーム、シスレイヤ (2万9500円)やDe La Marのクリーム(15万円)などの高額でありながら売れるスター製品も出現していましたが、ランコムなどメガブランド5社は、コアターゲットの25〜35歳の女性が継続的に購入できるレンジに価格を抑えていました。
■スキンケアアイテム中心価格表('03〜'04年)
<出所>
2003年版 化粧品マーケティング総監/矢野経済研究所
化粧品業界知りたいことがスグわかる!!/三田村蕗子
ターゲット
‘02年当時のランコムの発表によれば、ランコムのコアターゲットは25〜35歳の女性です。エクステンシルのヒット以前からマスカラに強みを持っていましたが’90年代後半から美白と日焼け対策商品を含めたスキンケアの拡販に重点を置いてきていました。その結果、'02年頃にはスキンケアとメイクアップの構成比率がほぼ半々になり、ともに2桁成長を維持していました。
ただし同様の戦略は他の外資系競合も採用しており、競争は激しくなっていました。なぜなら、スキンケアは日本最大の市場であり、また25〜35歳の女性というのは、流行に敏感なうえ経済的に余裕のある働く女性が中心の魅力的なセグメントだからです。
ワンシーズンごとの移り変わりが激しいメイクアップ商品に比べ、比較的息の長いスキンケア商品の方が利益を取りやすいというメーカー側の事情もあるといわれています。
BOBBI BROWNのようなメイクアップアーティストブランドでさえ、立ち上げ当初6〜7%だったスキンケアの売上シェアが、当時15%まであがっており、また同じくメイクアップアーティストブランドとして出発したRMKも、スキンケアへ商品ラインの拡大を行い、年率2桁の急成長を続けていました。
価格設定
スキンケアの代表的なアイテムについて、当時の外資系メガブランド5社に資生堂の5ブランドを加えた10ブランドの価格設定を比較してみました。(下表参照)
するとランコム、エスティローダー、ディオール、シャネルが、ほぼ同じレンジ内の価格設定となっており、クリニークは、それより平均して1,000円程度低めの価格設定になっていました。
この価格設定は、クリニークがかつてのトップブランドのポジジョンから凋落し、入門ブランドに変わりつつあることに影響していると考えられます。つまりクリニークでプレステージ化粧品を初体験した顧客が、年齢と収入が上がるにつれて、少し高めのランコムやシャネルに移行しているのではないかと言われています。
一方、資生堂は百貨店ルートだけでもブランドが複数存在し、価格設定がそれぞれ異なります。ターゲットを絞らず総花的な展開をしていると言えます。最も高価格帯のクレ・ド・ポーボーテが好調で安定した成長を見せていましたが、業界関係者の中には、同社に対してクレ・ド・ポーボーテ以外のブランドを本気で育てる気があるのか疑問視する声もあったようです。
百貨店ではSISLEYのクリーム、シスレイヤ (2万9500円)やDe La Marのクリーム(15万円)などの高額でありながら売れるスター製品も出現していましたが、ランコムなどメガブランド5社は、コアターゲットの25〜35歳の女性が継続的に購入できるレンジに価格を抑えていました。
■スキンケアアイテム中心価格表('03〜'04年)
<出所>
2003年版 化粧品マーケティング総監/矢野経済研究所
化粧品業界知りたいことがスグわかる!!/三田村蕗子